吉増剛造さんについて⑩
先日、吉増剛造さんの新しい詩集が発売され、近く著書「詩とは何か」が発売される。
毎週木曜日にYouTubeで配信されているDiaryもあと数回でお終いになる。
この1年半、木曜日の朝に配信のお知らせがあるたびに、別世界へ連れられて行くような興奮を味わっていた。
前々作の吉増剛造さんの詩集「怪物君」を読みながらこれまでの出来事を振り返り、わたしの言葉を少し並べてみた。
「蕾」
確実に
閉じる
閉じていく方向へ
まるで
蕾のように
いままで
減喩と
闘ってきました
それだって
十年かそこらのこと
蕾にもどるのです
鮮やかに青く
飛び散るのです、いま
アイヌの伝承者の
やわらかな声
やわらかそうな髭
どちらもカールしている
奄美の伝承者の
あたたかな瞳
陸続きであったとき
肌もつながっていた
偶然のアルファベット
P38のマニファクチャーな記憶
だれにも言えない
負い目をたずさえて
文字のない罫線のような一生
ひとは生きて死ぬ
だからこそ忙しい