吉増剛造さんについて③
今思えば、2016年の「声ノマ 全身詩人、吉増剛造」展へ行く前の下調べで、わたしはすでに吉増剛造さんの言い難い魅力に取り憑かれていた。
以来、来る日も来る日も吉増剛造さん関連の書物を読み漁り、CDから発せられる声に耳を傾け、次の機会を得る為に情報収集に躍起になっていた。
そして2017年5月、札幌の中心部から少し離れた閑静な住宅地にポツンと佇むテンポラリースペースと言う展示会場で「吉増剛造展」が開催されていると言う情報を得た。
東京から約一年。
吉増剛造さんの作品の片鱗に心で触れられれば……
ドキドキしながら小さい扉を開けると、小さな家全部が展示会場となっていて、吉増剛造さんの創った砂の小山、飛び散るインクで真っ赤に染まった紙が整然と展示されていた。
それらがどんな意味を持つものなのか知るのはもう少し後になってからだった。